ベンゾジアゼピン系薬物による医療被害を受けた患者は、減薬・断薬又は離脱症状の適正な治療を受けることができず、また、大きな損害を受けているにもかかわらずまったく補償を受けることができない。そこで、ベンゾジアゼピン系薬物による被害者が結集し、厚生労働省行政当局、関係医学会及び製薬会社に対して、①被害の実情の把握、②正確な副作用情報の提供、③治療方法の研究、④治療機関の設立、⑤専門知識を持つ医療者の育成及び⑥損害の賠償などについて、「厚生労働行政及び製薬会社の不作為の責任」を問いながら、一致協力して対応していくため、「全国ベンゾジアゼピン薬害連絡協議会」を設立する。
当協議会は、2020/1/13、全国薬害被害者団体連絡協議会(薬被連:11薬害13団体)の加盟団体となりました。
向精神薬のベンゾジアゼピン系薬物は、バルビタール酸系薬物の後継薬として1955年に開発されてから、多種類のベンゾジアゼピン系薬物が開発され、複数の製薬会社から販売されており、睡眠薬、抗不安薬及び抗てんかん薬、並びに多様な神経症状などの治療薬として、日本国内では様々な診療科の臨床現場で幅広く処方されている。しかしながら、1970年代には、バルビタール酸系薬物と同様の副作用である「薬物依存性」の存在が警告され、すでに、多くの諸外国では薬物依存などの副作用の発症を避けるため、ベンゾジアゼピン系薬物は、処方可能期間、処方可能容量又は処方対象疾患に関する規制、並びに保険給付対象外などの措置が実施されている。
一方、日本では、「向精神薬に関する条約」(1971年)の批准に伴い、ベンゾジアゼピンは「麻薬及び向精神薬取締法」の第3種向精神薬に指定されているが、その副作用の危険性が十分に周知されず、精神科以外の内科及び整形外科などの様々な診療科において、多量のベンゾジアゼピン系薬物が漫然と長期間にわたり処方され、中には、複数種類のベンゾジアゼピン系薬物を処方されるなど、間違いなく「ベンゾジアゼピン薬物依存」を発症している患者が多数存在しているが、その正確な数は把握されておらず、ベンゾジアゼピン系薬物の国内消費量から推計すると数十万人が存在するといわれている。そして、現在、日本はベンゾジアゼピンの世界最大消費国といわれ、国際連合の国際麻薬統制委員会は、2010年、「国際統制薬物の医療・科学目的の適切なアクセス促進に関する報告書」において、「日本でのベンゾジアゼピン系薬剤の消費量の多さは、不適切な処方や濫用と関係している可能性がある」と指摘している。
最新の世界のベンゾジアゼピン処方状況及び国別総消費量
国連麻薬統制委員会(INCB;INTERNATIONAL NARCOTICS CONTROL BOARD)レポート「Psychotropic Substances 2016」によれば、下左図の1日1000人当たりの処方量【S-DDD:defined daily doses for statistical purposes】では比較的人口の少ない国々が上位になる。
一方、右図の人口を乗じた国別総消費量では第1位米国、第2位日本となる。日本では医療上の処方がほぼ100%であり、広く汎用されている実態がある。(米国では違法取り引き=密売が多いとされている)➡S-DDDよりも、本来、服用者に限定した処方量のデータがあれば有であるが、存在しない。
全国ベンゾジアゼピン薬害連絡協議会(BYA)